瓦の除去が終り、本日より重機による本堂の建物の解体が開始されました。
大切におまもりしてきた本堂についにメスが入ります。
まずは500リットルタンクにためたたっぷりの水を高圧ホースで瓦がとれた土ぶきの状態になった本堂にかけます。
これをやらないと重機で壊したときにものすごい土埃が舞って、風向きによっては近隣に迷惑がかかってしまいます。そういう意味では雨を期待したのですが、期待に反し今日もカンカン照りであります!
ついに重機で向拝(=屋根の中央が前方に張り出した部分)から壊し出しました。頭でわかっていても心は痛む瞬間でした。
この日は解体業者は2名で来てましたが、中村社寺の現場監督さんもホース水まきを補助してました。今日も暑いので見てるだけでちょっとは涼しい。
向拝があらかた解体されました。いよいよ本堂内部へと進んでいきます。
軸組が露わになりました。梁はマツ材が使ってありました。比較的細い柱の上で重い屋根を支えてくれました。ブルーシートは数年前に天井の隙間から屋根の土がボロボロ床に落ちてくるのを防ぐために師父が自分でしいたものです。存在を忘れてましたがちゃんと出てきました(笑)
本堂正面入口の建具の上の鴨居(*1)を生かし取りしてもらいました。
大変立派なものなので保存してなにか加工して使いたいと思ってます。
(*1)建具を立て込むために引き戸状開口部の上枠として取り付けられる横木
本堂の床も畳がすべてはがされています。床板はスギ材。
床板も現代のようにベニヤじゃなくて昔はすべて天然の本物の木を使ってあるのでもつんですね!
積まれた解体した木材。比較的太い木材はリサイクルするそうです。
虹梁(柱と柱を上部でつなぐ梁)のS字型のカーブが美しいです。
今、これをまともにつくるのも大変だと思うと捨てるのはもったいない。。
彫刻の仕方で時代区分がわかるそうです。
今日は名古屋大学より建築の先生も見学にみえました。
木質構造を研究している古川忠稔先生で、濃尾大地震を耐えた築250年の蓮照寺の木造建築に大変感心をもって今日の解体現場を見学するため来寺されました。木造建築を見直そうという促進事業も産学連携でやっておられるそうです。
学校や役所の建物をコンクリートから木造へ回帰する。すばらしいことだと思います。うちの本堂も木造で再建することに大きな意義があると思っております。
↓古川先生のHPです。
http://www.dali.nuac.nagoya-u.ac.jp/furukawa/mainframe.html
さらに本堂構造の中枢部が少しずつ見えてきました。
ちなみに屋根の垂木の上に横にいくつも隙間なく渡してあるのが竹で、その上にスギ皮をのせてあり、その上に粘土質の泥土をのせてあります。
こういう自然の素材だけを当時使用して、その上に瓦を葺いていました。250年前の職人さんの手間暇かけた丁寧な仕事がほんとによくわかります。
ちなみに今回の新本堂はこのようなやり方はしません。「しません」でなく「できません」が正しいですが。建築基準法に従うと、この泥土式の屋根のふせ方では重くなるため耐震性が悪いというのですが、濃尾地震を耐えた事実からするとやはり構造計算とか科学的な数字の世界を超えた昔の人の神秘的な知恵と力を感じます。
この屋根の竹を再利用して茶道の茶杓にしたいという檀家さんがいました。設計士さんも同じ事を要望していました。250年本堂を支えてきた竹で茶杓を作る。これはまた趣があります。
お疲れ様でした。。。
解体期間中は墓参の方は裏からお願いします。
ご不便をおかけしますがよろしくお願いします。