本日はいよいよ新本堂の上棟式を迎えることとなりました。
一番心配していた天気もなんとか大丈夫でホッとしました。去年9月1日の地鎮式は大変な雨にあたってしまったので。ちなみにほんの一日ずれていたら雨になるところでした。(翌26日の降水確率80%!) 本当に今回は諸天善神のご加護があったと思いました。
さて、上棟とは、「棟上げ」のことで、棟木を上げる儀式のことです。その「棟木」とは、母屋や桁と平行に取りつけられる屋根の一番高い位置にある部材をいいます。建築の順番として、まず柱をたて、屋根(小屋組)の一番上の木ができたことを祝い、施主が大工さんに慰労と感謝の意を捧げる意味があります。
棟木の位置を簡単に図示したものです。建物の一番高いところにあります。そこまで組み上がったことを示すことがこの図からわかります。
また、上棟式は本来、大工さんが主役であり、工匠のお祭りとされています。施主(今回はお寺側)が、ここまでの工事の安全と、その労をねぎらって祝う儀式です。今日もある檀信徒さんが「まだ途中だけど、よくここまで災害もなく無事にたどりついた。巷の建築現場にありがちな資材が入ってこないというトラブルもなく、本当によくできたと思わないといかんと思いますよ」と私に言われました。この本堂再建事業の実行責任者であるわたくしは今回の大事業でよりよき本堂完成の遂行に励まさせて頂いており、日々の法務に加え(ありがたくも!)頭がいっぱいですが、ほんとうにこの方の言うとおりだと思いました。その感謝を仏様、諸天善神のご宝前で大工さんに捧げるのが今日の意義なのです。
ものの本によると、昔の木造建築家屋の上棟式は夕刻に盛大に行われていたらしく、無事に棟上げが済むと、その下で大工や職人などは材木に腰掛け、薄明かりのもとで、車座にすわり、棟梁の音頭によって歌を歌い、御神酒を飲み、祝膳を頂き、施主(家主)からねぎらいの宴が開かれていたとのこと。そういうかつてあった事実を知ると、しみじみと昔のよき日を偲びつつ、今回のお寺の上棟式にも自然と思い入れがさらに深くなる気がしました。
上棟式前の本堂の遠景。ブルーシートで覆ってあります。実際の棟木はすでに工匠(宮大工)の手により取り付けられていますが、上棟の儀式として、参列の方々で棟木の代わりとなる木を建設会社に用意して頂いてそちらを後ほど上げていくことになります。
棟木とともに重要な意味を持つ「棟札」です。棟札とは寺社・民家など建物の建築の記録・記念として、
棟札の上に、京都本山・立本寺貫首様のご染筆の大曼荼羅本尊の掛け軸をおかけしました。裏側からの自然光に照らされて神秘的な輝きを放っていました。このご宝前で上棟式の祈願のお経があがります。
堂内に新本堂の奉納瓦を並べました。檀家様から申込のあったお名前とご祈願内容をこちらもわたくしが一枚一枚丹念に書かせて頂きました。全部で382枚の申込があり、そのうちの200枚を代表で本堂内の両側の脇間に並べさせて頂いたものです。のちほど今日の上棟式の法要の中で、この瓦に対しても、ご祈祷のお経があがります。堂内に投光器で照らしたのでオレンジ色かかってますが、実際はいぶし銀のいぶし瓦です。
本堂内陣柱をつなぐ虹梁です。当山の「光栄山」の山号にちなんで雲間からの日の出の光をイメージして、菅野設計所長様にデザインして頂き、彫り師さんに彫ってもらいました。
御本尊を中心に、香華蝋燭等々御供えし、準備がおわりました。前日午後から一緒に準備頂いた建設会社、大工さん、檀家取り持ちのお手伝いの方々ありがとうございました。
各御寺院さま計10名のご出仕のもと、上棟式法要がはじまりました。
外陣に並ぶ参列の檀信徒の皆様。堂内とはいえまだ構造上壁も建具もなく、外も寒い時期なので、皆様には充分な防寒をお願いしてありましたが、本日は比較的穏やかな日でよかったです。
導師はわたくし住職がつとめ。副導師4名のご寺院に脇をかためて頂きました。少々緊張しましたが、それ以上に心強い感じがしました。
さきほどの奉納瓦の奥に、中村社寺の法被をまとった宮大工衆5人がひかえておられます。
修法師5名のご寺院さまにご宝前で力強くご祈祷をして頂きました。皆様百日の大荒行を成満した方々です。去年7月の旧本堂魂抜き、去年9月の地鎮式に続いての3回目になります。今回新本堂の建物の中でのご祈祷はやはり心が改まる思いがします。
奉納瓦に対しても、ご祈願祈祷して頂きました。こちらが向かって右側の一般檀信徒席側の瓦です。
こちらは総代・役員席側の奉納瓦に対するご祈願です。これで皆様のお名前と祈願名を書いた瓦に魂が入ります。そして、来月より新本堂の瓦としてふせていきます。